暮らしとオリンピック

オリンピックが開幕した。日本開催の歴史を辿ると、夏季オリンピック第18回(東京1964)、冬季オリンックが第11回(札幌1972)、第18回(長野998)。そして今回の夏季オリンピック第32回(東京2021)で4度目となる。実は冬夏同年開催(札幌・東京)が予定されていた1940年は、日中戦争~太平洋戦争の流れで1938年に辞退し幻として消えた。1938年は亡き父の誕生年。コロナ禍の今とはまた違った意味で父が生きた時代の難しさを改めて感じつつ、自分のその時の暮らしとオリンピックが意外と強烈な記憶で結びついてきたことに気付かされる。

過去の日本開催で最も心に残っているのは、長野のジャンプ団体金メダル。

前大会(リレハンメル)のメダル目前で失敗した原田が飛ぶ時、誰もがまたやらかしそうと固唾をのんで見守る中、最高のジャンプを見せてくれた。そして彼の涙に心が震えた。今回は誰がどんな記憶を刻んでくれるのか楽しみだ。開会式では、特に木工の巨大な5輪を建てるシーンが素晴らし過ぎた。家屋、道具、器など、木と共にある暮らしの歴史が深い日本ならではの心と技。木をふんだんに使った新・国立競技場と共に木工文化の粋が世界に伝わればと願う。

もののふ

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